作品・トライアングル「蒼き狼」



(4) 「作品・トライアングル“蒼き狼”」 (h=50cm)

    作品・トライアングル「蒼き狼」は、7年前に陶芸を始めたとき以来、ずっと温め続けてきたテーマである。井上靖のジンギスカンの生涯を描いた同名の小説に感動し、いつかは彼を作品にしてみたいと。史上類まれな大帝国を築きあげたジンギスカン。その飽くなき征服欲の源は何か。「上天より命ありて生まれたる蒼き狼あり。その妻たる惨白き牝鹿ありき。・・・」ではじまるモンゴル族の伝承。そしてその末裔たらんことの証を得んと、生涯を戦いに明け暮れた彼。
    ・・・彼の一生は、永遠に果たし得ぬ自分のアイデンティティを求める旅だったのである。私は彼に“人間の偉大さ”を見た。そして同時にまた、彼の象徴たる「蒼き狼」に滅びゆくものの悲しさと美しさを。私はシートンの動物記から「月に向かって遠吠えする狼」を選び、これを下絵にした。そして、シャープな三角形でこれを再構成した。

    ・・・これは、“蒼き狼”へのレクイエム(鎮魂歌)である。